2013年8月4日日曜日

金港ビルとLORDビル(仮称)

弁天通り1丁目に気になる建物が2棟あります。

横浜市建築助成公社から昭和29年度融資を受けている共同ビル。
助成公社による「融資耐火建築調」によると昭和27年度から融資事業をはじめてから60棟目にあたり、それまで多くても5人の建築主による共同建築が最大数であったのに対して、この共同ビルは8氏の建築主による共同建築。
県公社との併存型ではなく、個別再建型の共同ビルです。

そしてそれまでの共同ビルが3階建てか4階建てが多い(防火帯なのでできるだけ中層化されることが望ましかった)のに対してこの共同ビルは2階建て。
竣工当時の写真を見ると、2階部分を一体的にデザインしたガラスのカーテンウォールが目を引きます。極めてモダンなデザインが用いられると同時に、建物の妻側には、将来の増築を見越した角だしの処理がみえます。

現在、この建築はどうやら分節されて2棟になり現存しているようです。
中央部分(仮にLORDビルと呼んでおきます)は分節された当時のまま、半分ファサードが隠れていますが、ガラスのカーテンウォールもみえます。
南端部分は増築され、現在は3階建てのビル(金港ビル)として多くのテナントが入居しています。竣工当時の写真にみえる上階への入り口は、現在はビル中央部分に位置し、2、3階のアクセス専用として使われているようです。

どうしてこういう経緯を辿ったのかはわかりませんが、スチュワート・ブランドの「How Buildings Learn」のように、学びつづける建築の姿がそこにありました。

竣工当時の写真。南側の妻面に将来の増築を見越した角だしの処理がみえる。2階部分のガラスのカーテンウォールが極めてモダンな印象。(写真出典:融資建築のアルバム(横浜市建築助成公社)1957)


中央部分が一部そのまま現存している。2階のガラス面もおそらく当時のまま。

南側は分節後に増築され現在は3階建てのビル(金港ビル)になっているようだ。
昭和33年当時の防火建築帯造成状況図からの抜粋。


より大きな地図で 防火帯建築(金港ビルとLORDビル(仮称)) を表示